文字を大きくする 文字を小さくする

臨床研修制度 インデックス

救急集中治療科研修の概要

基本理念と特徴

当科は大阪市東部(城東区、鶴見区、旭区)の中で唯一救急部門をもつ急性期病院である。地域の救急患者全てを受け入れ、適切な診療を行うことを診療科の目標として掲げている。
当科の研修は、見学だけするのではなく、国家試験を合格した一人の臨床医として持てる知識をフルに動員し自ら診断を下し治療計画をたてるという一連のプロセスを経験する。
一年次の研修はあらゆるcommon diseaseを救急外来から病棟での診療を行い、社会的な背景を鑑みて退院問題について対処するという全人的医療を中心に行う。二年目は希望による選択(0~4ヶ月)となるが、一年次研修医を指導しながらサブ病棟医長として病棟全体を俯瞰しながら入退院の調整を行う。一方、集中治療室に入院する重症疾患(敗血症、外傷)に対するEBM; evidence based medicineにのっとった集中治療を経験する。
当科では野戦病院的急性期病院として実地臨床にあたりながらスタッフ医師と苦楽を共にし、忙しいが充実した臨床を望むガッツのある研修医を望む。 

目標と実績

1.一般目標

最低限の目標として各種症候別の鑑別疾患を想定しながら確定診断に至るための診療を行う。院内外の心肺停止やショック、呼吸不全など重篤な病態からcommon diseaseにまで多岐にわたる初期診療を実行することができる。よりadvancedな目標としては上記のような病棟管理からEBMにのっとった集中治療の実践など各個人のニーズにあわせフレキシブルに設定することができる。

2.行動目標
  1. バイタルサインを迅速に把握し的確な身体診察を行うことができる。
  2. 各種症候から鑑別疾患を想起できる。
  3. 外傷初期診療を理解している。
  4. 一次救命処置(BLS)の指導ができ、二次救命処置(ACLS)を実施できる。
  5. 重症と緊急度の判断ができ、適切な呼吸管理と循環管理を実施できる。
  6. 集中治療に関するEBMを理解し実践することができる。
  7. 患者背景を把握し、全人的な医療を遂行できる。
  8. チーム医療の一員として、自分の役割を理解し、各コメディカルと良好なコミュニケーションがとれる。
3.経験できる手技(実績)
  1. 中心静脈カテーテル留置 2-4例/月
  2. 気管内挿管 1-2例/月
  3. 心肺停止 2-4件/月(2年次までにICLSコースを受講しコマンダーとして対応する。)
  4. 電気的除細動(含同期下除細動) 1-2例/月
  5. 各種画像診断・生理学診断(腹部エコー、心臓エコー、画像診断)
    週1-2コマ当該部門で研修選択可
  6. 全身麻酔
  7. 気管切開 0-1例/月
  8. 持続ろ過透析の管理 0-1例/月
4.経験すべき症状・病態・疾患
  1. 内科研修の概要:内科研修の目標.3.(6).A) 症状・病態に記載される項目に準じる。
  2. 外傷全般
  3. 院内外で発生した心肺停止、呼吸不全、意識障害、急性中毒
  4. 当科で経験できる可能性の高い症状、所見の鑑別診断
発熱 めまい 失神 意識障害 頭痛
腹痛 下痢 嘔吐 呼吸困難
胸痛 麻痺 痙攣 高体温
低体温 外傷 中毒 心肺停止  

研修の特徴

当科では、救急外来業務を中心とし内因性・外因性を問わず、救急疾患の診療を行う。また、原因の明らかではない重症症例に対する集中治療の経験をする。他、各研修医の希望に応じ、腹部超音波・心臓超音波の修練や画像診断部門での読影、緊急手術や処置の研修や救急外来を経由した入院症例の診療を行うことができる。

ローテート

1年目研修のうち、2か月間が救急集中治療科の研修となる。

その他

1.スタッフ
部長 鈴木 聡史 (H15年 群馬大学医学部卒業)
救急医学会専門医、内科認定医、ICLSコースディレクター、JPTECインストラクター、ACLS-EPプロバイダー、臨床研修医指導医講習会受講、TNT研修会受講、大阪DIC研究会(評議員)、JICA国際緊急援助隊医療チーム、JOMS日本アウトドアメディカルサポート
2.診療

救急車受け入れは約300台/月(年間約3600台)である。入院診療は不明熱や敗血症など感染症、外傷症例を対応しているが、年間約300人の入院受け入れを行っており、うち、ICU症例は年間20人である。
当直業務は現在、週2回内科当直として内因性救急疾患の対応をしている。

3.その他の活動

当科は積極的に院外での医療活動を推進している。
主な実績:
東日本大震災には、院内チームとして大阪市チーム、大阪府医師会チームとして参加。院外チームとしてJOMS; Japan outdoor medical supportに協力。研修医は計3人被災地に医療ボランティアとして派遣している。
その他、全日本モトクロス選手権のチームドクターや格闘技のリングドクター派遣を定期的に行っている。

 

このページの上へ