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内科研修の概要

基本理念と特徴

内科はあらゆる臨床医学の根幹をなすものであり、将来選択する診療科にかかわらず患者の全体像を把握するために医師として必須の習得事項である。済生会野江病院の内科には、血液・リウマチ内科、糖尿病・内分泌内科、脳神経内科、消化器内科、循環器内科、呼吸器内科、腎臓内科の7科が存在し、各科協力して診療にあたっている。
済生会野江病院の内科研修プログラム(初年度の6ヶ月間)は、厚生労働省の「研修プログラムに関する基準」に記載されている「経験目標」を可及的に充足しつつ、患者サイドに立った医療への取り組み方を学ぶべく設定されている。 「優れた技量を持ち、患者さんにやさしい医師となるための一般的知識・技術・接遇の基本を修得する」ことを研修医の到達目標とする。

内科研修の目標

1.一般目標

各種内科疾患の特性を学び、内科診断・治療の基本を修得する。

2.行動目標
  1. 患者と相互理解を得る話し合いを通じて、疾患に対して歩調を合わせて取り組むことができる良好な人間関係を構築する。
  2. 医療の遂行に関わるチームの構成員としての役割を理解し、積極的にチーム医療の遂行にたずさわる。
  3. 内科疾患の診断・治療法の修得に励み、カンファレンスなどで自己の達成事項を積極的に発表する。
  4. 医療現場における、医療事故・院内感染対策に積極的に取り組み、安全管理の方策を身につける。
3.経験目標
(1) 正確な問診法

過去の病歴・現病歴・家族歴・職歴・住居環境など、疾患の診断に過不足のない問診ができる。

(2) 基本的な身体診察法

病態の正確な把握ができるように、頭頚部・胸部・腹部・神経学的診察などを含む全身の理学的所見を把握し、的確に記載することができる。

(3) 基本的な臨床検査

下記の検査を指示し、検査結果を自らあるいは専門家の意見に基づき解釈できる。

一般尿検査便検査血算血液型判定
心電図動脈血ガス分析血液生化学的検査血液免疫血清学的検査
細菌学的検査肺機能検査髄液検査内視鏡検査
超音波検査単純X線検査造影X線検査X線CT検査
MRI検査核医学検査神経生理学的検査 
(4) 基本的手技・治療法

下記の基本的な内科的手技ができる。

注射法採血法穿刺法導尿法除細動薬物療法輸液輸血
(5) 医療記録

チーム医療や法規との関連で重要な以下の医療記録を適切に作成できる。

診療録処方箋指示書診断書死亡診断書紹介状返信書
(6) 経験すべき症状・病態・疾患

研修の最大の目標は、患者の呈する症状と身体所見・検査所見に基づいた鑑別診断・初期治療を的確に行う能力を獲得することである。 従って、以下の症状・病態・内科的疾患をできるだけ豊富に経験する。

A)症状・病態:

全身倦怠感不眠食欲不振体重減少/増加浮腫
リンパ節腫脹発疹黄疸発熱頭痛
めまい失神痙攣視力障害結膜充血
聴覚障害鼻出血嗄声胸痛呼吸困難
咳/痰嘔気胸やけ嚥下困難腹痛
便通異常腰痛関節痛歩行障害四肢のしびれ
血尿排尿障害尿量異常  

B)内科的疾患:

貧血白血病悪性リンパ腫出血傾向/紫斑病脳/脊髄血管障害
痴呆性疾患神経変性疾患脳炎/髄膜炎皮膚炎薬疹
皮膚感染症骨粗鬆症心不全狭心症/心筋梗塞心筋症
不整脈動脈疾患静脈/リンパ管疾患高血圧症呼吸不全
呼吸器感染症閉塞性/拘束性肺疾患肺循環障害異常呼吸胸膜/縦隔/横隔膜疾患
肺癌食道/胃/十二指腸疾患小腸/大腸疾患胆嚢/胆管疾患肝疾患
膵臓疾患腎不全原発性糸球体疾患全身性疾患による腎障害視床下部/下垂体疾患
甲状腺疾患副腎不全糖代謝異常高脂血症蛋白/核酸/代謝異常
ウイルス感染性細菌感染症結核真菌感染症寄生虫疾患
慢性関節リュウマチ/膠原病アレルギー疾患高齢者の栄養摂取障害老年症候群 

内科研修プログラム

内科7科を1~2ヶ月毎に各科をローテーションする。
血液・リウマチ内科、糖尿病・内分泌内科、脳神経内科、消化器内科、循環器内科、呼吸器内科、腎臓内科
病棟での研修医の指導は各科責任者の統括のもとに、研修指導医が各研修医に個別対応する。 移転時には、個々の研修医の達成項目を評価し、全体として過不足ないように充分配慮する。 原則的には、午前8時50分から午後5時までを勤務時間とするが、患者の状態に応じて時間外勤務を行う。

内科研修の到達度の評価

6ヶ月の内科研修終了時に、研修医の研修達成度・医学的知識・カンファレンス等での発表状況・患者管理能力・患者への接遇などの「研修医評価」が、研修指導医によって行われる。これと研修医自身の自己評価をもとに、臨床研修委員会が研修内容の最終的評価を行い、研修終了の承認を行う。

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