
部長 多久和 輝尚 / 呼吸器外科
Q1.呼吸器外科とはどのような疾患を扱う診療科ですか?
肺や気管、胸膜など胸部にある臓器の疾患を専門的に扱う診療科です。特に肺がんや気胸、胸部外傷などの手術が中心です。胸腔鏡やロボット支援手術を用いることで、患者さんの体に優しい治療を心がけています。
Q2.肺がんの主な原因と治療法について教えてください。
肺がんの原因は主に喫煙ですが、受動喫煙や大気汚染も影響します。
治療はがんの種類や進行度により異なり、手術、放射線治療、薬物療法が用いられます。
手術でのがんの摘出は早期の肺がんに対して行われています。最近では、患者さんの体への負担を減らすために、胸腔鏡手術やロボット支援手術が多く選ばれるようになっています。ロボット支援手術では、カメラで拡大した三次元画像を使用し、手のように動く鉗子を使って精密な操作が可能です。これにより、より安全で負担の少ない手術を提供することができます。
進行期のがんは、専門チームによる薬物療法、放射線療法、手術を組み合わせた治療(集学的治療)を提供しています。
Q3.胸膜中皮腫とは何ですか?どのように治療されますか?
胸膜中皮腫は、肺を覆う胸膜に発生するがんで、主な原因はアスベストへの長期暴露です。
早期の中皮腫の治療法としては手術、化学療法を組み合わせています。中皮腫は非常に経過の悪い病気ですが、当院では肺の全摘出をしない手術方法(胸膜切除肺剥皮)を用いることで良好な治療成績を残しています。
Q4.気胸とは何ですか?どのように治療されますか?
気胸は、肺の一部が破れることで空気が胸腔に漏れ、肺がしぼむ病気です。
軽症の場合は自然治癒を待ちますが、重症や繰り返す場合は胸腔ドレナージや手術が必要です。当院では、胸腔鏡を用いた低侵襲手術を行い早期回復を目指します。
Q5.膿胸とは何ですか?どのように治療されますか?
膿胸は胸腔内に膿がたまる病気で、感染症が主な原因です。
治療は胸腔ドレナージによる排膿や抗菌薬の投与が基本ですが、手術が必要な場合もあります。当院では、速やかに排膿を行い、患者さんの負担を最小限にします。
Q6.呼吸器内科との違いは何ですか?
呼吸器内科は、薬物療法や呼吸リハビリなどの内科的治療を中心に行います。一方、呼吸器外科は外科手術を中心とし、肺がんや気胸などの手術が必要な疾患を専門とします。
当院では、呼吸器内科と呼吸器外科が連携し、患者さんによりよい治療を提供しています。
Q7.胸腔鏡手術とはどのような手術ですか?
胸腔鏡手術は、胸に小さな切開を加えてカメラと器具を挿入し、モニターで確認しながら行う低侵襲手術です。従来の開胸手術に比べ、傷が小さく、回復が早いのが特徴です。
Q8.呼吸器外科手術のリスクと術後の回復期間について教えてください。
手術のリスクには感染症や出血、肺機能低下があります。
回復期間は手術の内容によりますが、胸腔鏡手術では1週間、大きな開胸手術では1~2週程度かかる場合もあります。当院では術後ケアにも力を入れています。
Q9.呼吸器外科疾患の予防方法と、早期発見のためにできることについて教えてください。
禁煙は最大の予防策です。また、定期的な健康診断や胸部CT検査が早期発見に役立ちます。当院では、患者さんの生活改善をサポートし、健康を守るお手伝いをしています。