高田医院 高田院長・野江病院 河野副院長

認知症の現状

河野

認知症は、日本では現在約600万人、軽度認知障害(MCI)を含めると約1,000万人とも言われています。城東区でも高齢化率が上がっており、今後さらに患者さんが増えると予測されています。

高田

実際にかかりつけ医をしていると、物忘れの相談は増えています。「年齢のせい」と思って受診が遅れる方も多いですね。MCIの段階で見つけられれば、進行を遅らせることも可能です。


早期発見のポイント

河野

治療方法の進歩から、より発症早期である軽度認知障害(MCI)の時点で発見することが重要となっています。発見のためのポイントとして、

  • 趣味をしなくなったなど、意欲が低下した
  • 何度も同じことを尋ねる
  • 物の名前が出にくい
  • 仕事中のミスが増えた
などがあげられます。一つでも当てはまるようであれば、紹介をご考慮ください。

高田

ご家族からの情報も大事ですね。「同じ話を繰り返す」「料理の手順が分からなくなる」「道に迷う」など、日常生活での小さな変化を見逃さないことが重要です。


診断と治療・支援

河野

何より病歴が重要です。本人に加えて、様子をよく知る介護者からの病歴聴取を行うこと、数年前と比べて能力が低下している点がないかについて詳しくお話をお聞きします。
そのうえでMRIやSPECTによる脳画像検査、血液検査などを組み合わせて診断します。治療は薬物療法に加え、リハビリや生活指導が不可欠です。

高田

私たち地域のクリニックでは、症状の経過を追いながら必要な時期に病院へ紹介します。診断後も、病院と連携して在宅医療や訪問看護、デイサービスなどとつなげていきます。


地域での取り組みと今後

河野

認知症は医療だけでなく、介護・福祉・地域コミュニティが一体となって支えることが必要です。当院も医師会はもとより、行政とも協力して市民公開講座などを通して啓発活動を行っています。

高田

医師会としても、かかりつけ医が早期に気づき、必要な支援につなげられるよう勉強会を重ねています。これからは在宅での看取りや終末期医療も含めた総合的な支援体制を作っていきたいです。


メッセージ

河野

認知症は早期発見・早期介入と継続的な支援が大切です。気になる症状があれば、まずはかかりつけ医にご相談ください。

高田

地域の医療・介護のネットワークを活用すれば、安心して暮らし続けられます。私たちはそのお手伝いをしていきます。

インタビュー一覧

  • 副院長 河野隆一 / 脳神経内科
  • 副院長 野田幸弘 / 小児科
  • 副院長 山岡新八 / 呼吸器内科
  • 副院長 太田秀一 / 消化器外科
  • 部長 南方竜也 / 形成外科
  • 部長 多久和輝尚 / 呼吸器外科
  • 部長 嶋千絵子 / 眼科
  • 特任部長 河 源 / 泌尿器科
  • 高田医院 高田院長・野江病院 河野副院長 / 対談

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