柳原医院 築山院長・野江病院 相原副院長

今シーズンの感染動向と外来・病院の“見え方の違い”

築山

今シーズン(令和7年度冬期)はインフルエンザA型とB型の両方が流行し、外来では長期にわたって患者さんが来院されました。発熱患者さんの多くはまず診療所を受診されるため、初期対応の責任は大きいと感じています。

相原

病院では、その中でも重症化した患者さん、特に肺炎を併発したケースや基礎疾患のある方が紹介されてきます。
同じ感染症でも、診療所やクリニックと病院では見ている患者層が異なり、それぞれの役割が明確に分かれていると実感します。


初期診療の質が連携の質を決める

築山

外来では「どこまで診るか」「いつ紹介するか」の判断が非常に重要です。
例えば、酸素飽和度の低下、呼吸状態の悪化、基礎疾患の有無などを総合的に評価し、早期に紹介すべきかを見極めます。

相原

紹介のタイミングが適切であればあるほど、病院での治療の選択肢が広がります。
逆に、重症化してからの紹介では入院が必要となり治療期間も長くなってしまうため、「少し早いかな」と思う段階でご相談いただけるのは非常にありがたいです。


検査と診断:見えにくくなった感染症

築山

最近は症状だけでインフルエンザと新型コロナを見分けることが難しくなっています。

相原

その通りです。現在は同時検査が一般的になり、検査のタイミングも重要です。
特にインフルエンザは発症初期では陰性になることもあり、再検査を考慮するケースも少なくありません。

築山

外来では患者さんの希望もあり、発症早期に検査を行うこともありますが、その結果の解釈には注意が必要ですね。


高齢化がもたらす“肺炎の質の変化”

相原

近年特に増えているのが誤嚥性肺炎です。単なる感染症というより、嚥下機能の低下や全身状態の変化が背景にあります。

築山

外来でも「風邪だと思っていたら肺炎だった」というケースがあります。
高齢者では症状が典型的でないことも多く、早期発見が難しいと感じます。

相原

誤嚥性肺炎は再発率が高く、入院治療だけで完結するものではありません。
退院後の生活環境、口腔ケア、リハビリテーションなど、地域全体での支援が不可欠です。


見逃してはいけない感染症:結核という課題

相原

気道感染症の中でも、結核は特に注意が必要です。
抗菌薬の使用によって一時的に症状が改善し、診断が遅れるケースもあります。

築山

外来ではどうしても頻度の高い感染症を優先して考えがちですが、「長引く咳」「治療に反応しない」といった場合には結核を疑う視点が重要ですね。

相原

最近は若年層では外国籍の症例、高齢者では過去感染の再燃が多く、二極化している印象があります。


多様化する患者と医療現場の現実

築山

地域でも外国人患者さんが増えており、言語や医療文化の違いに対応する必要があります。

相原

病院でも同様です。治療の継続が難しいケースや、フォローアップが途切れてしまう課題もあります。 こうした背景も含めて、地域で支える視点がますます重要になっています。


「つなぐ医療」― 地域連携の本質

築山

患者さんにとっては、「診療所→病院→在宅」と医療が途切れずにつながることが安心につながります。

相原

まさにその通りです。
急性期病院は、高度・専門的な短期間の治療を担いますが、その後の生活を支えるのは地域の医療機関です。
紹介と逆紹介を円滑に行い、情報を共有することで、患者さんにとって最適な医療が提供できます。


市民の皆さまへ

築山

発熱や咳などの症状がある場合は、まずは身近な医療機関にご相談ください。早期の受診が重症化予防につながります。

相原

当院は地域医療支援病院として24時間体制で地域の医療機関と連携し、高度・専門的な医療の提供に努めています。
地域全体で皆さまの健康を支えていますので、安心して受診してください。

インタビュー一覧

  • 副院長 河野隆一 / 脳神経内科
  • 副院長 野田幸弘 / 小児科
  • 山岡新八 / 呼吸器内科
  • 副院長 太田秀一 / 消化器外科
  • 部長 南方竜也 / 形成外科
  • 部長 多久和輝尚 / 呼吸器外科
  • 部長 嶋千絵子 / 眼科
  • 特任部長 河 源 / 泌尿器科
  • 副院長 相原顕作 / 呼吸器内科
  • 高田医院 高田院長・野江病院 河野副院長 / 対談
  • 柳原医院 築山院長・野江病院 相原副院長 / 対談

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