太田 秀一
おおた しゅういち
役職 | 副院長 兼 手術部部長 |
---|---|
資格 | 日本外科学会(専門医) |
当科は主に腹部の病気を扱う診療科です。低侵襲、機能温存、高い根治性を目指し、患者さん中心の診療を心がけています。
腹腔鏡下手術は当科の特徴の一つであり、鼠径ヘルニアや虫垂切除、胆嚢摘出術などの良性疾患から食道癌、胃癌、大腸癌を中心に肝臓癌、膵臓癌などの悪性疾患にまで幅広く導入しております。2024年からは直腸癌、結腸癌に対しダヴィンチXi手術支援ロボットを用いた腹腔鏡下手術を開始し、さらなる機能温存や根治性向上を目指しております。
我々のモットーはあきらめの悪い外科であり、切除不能の悪性疾患に対しても化学療法(抗がん剤治療)を中心とした集学的治療を積極的に行い根治性向上を目指します。
消化管に発生する悪性腫瘍(食道癌、胃癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、膵臓癌、胆道(胆嚢)癌、GIST等)の手術、急性虫垂炎や急性胆嚢炎、腹部外傷や消化管穿孔などの緊急手術、鼠径ヘルニアや腹壁瘢痕ヘルニア、胆嚢結石症などの良性疾患の手術を行います。全身麻酔手術の70%以上が腹腔鏡手術であり、積極的に導入しています。
特に良性疾患の腹腔鏡下手術は毎年300例以上であり、豊富な経験を持ちます。
腹腔鏡手術は傷が小さく、痛みが少なく、入院日数が短いなどの患者さんに優しい手術です。専門の設備を整えた腹腔鏡専用手術室を完備し、緊急手術にも対応できる体制を整えています。
各種の癌に対する治療方針は、消化器センターとして消化器外科、消化器内科、放射線診断科・放射線治療科、病理診断科との合同会議(キャンサーボード)を毎週開催し、それぞれの患者さんに適した治療法を決定しています。
2023年に保険収載された胃全摘出後のQOLを重視した空腸パウチ作成術(代用胃作成)は20年の経験を持ち、腹腔鏡補助下に行っています。
また術前化学療法や術前放射線化学療法を積極的に導入し、低侵襲、機能温存、根治性向上を求めています。
2014年より開始した鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡手術(TAPP法)は1,000例を超え、豊富な経験を持ちます。
全身麻酔下に腹腔内よりメッシュを挿入する手術で、患者さんの負担は少なく97%以上の方が手術の翌日に退院され、早期の社会復帰が可能です。経験数約700例の時点で再発率は0.5%であり、手術成績も満足できる結果となっています。
虫垂切除や胆嚢摘出術も95%以上が腹腔鏡下手術であり、それぞれに年間約100例近い症例数を経験しています。
ガイドラインに従い術前化学療法を行ったのちに胸腔鏡下での根治手術を行っております。また高齢者や呼吸器機能の低下した患者さんに対しては放射線治療や化学放射線治療など非手術療法も消化器内科、放射線治療科と連携し積極的に導入しております。
術前化学療法と機能温存低侵襲手術を積極的に導入しています。
大きなリンパ節転移を伴うものや大型の癌には積極的に術前化学療法を行い根治性の向上を目指しています。また、一部の切除不能胃癌に対しては化学療法で縮小を図り根治切除の可能性を求めるコンバージョン治療を積極的に導入しています。
腹腔鏡下胃全摘後、代用胃による再建(空腸パウチ再建術)
胃全摘は胃が全てなくなってしまう手術です。完全に治すためには避けられない治療手段となることがりあますが、胃全摘後の食生活の質は胃の一部を温存した手術と異なり、低下が避けられません。我々は少しでも生活の質=食生活の質を向上すべく、代用胃を目指した空腸パウチ再建法を約20年前より腹腔鏡下手術で導入しています。幸いにも、この術式は2023年に公的な審査、承認を経て保険収載されました。
胃の出口である幽門を温存し、胃の出口側2/3ほどを切除する術式です。幽門から少し離れた早期胃癌が対象となり、術後の食事摂取量の増加や十二指腸液の逆流防止などが期待されます。
胃の入口である噴門を温存し、口側の1/2ほどを切除する術式です。以前は胃全摘が行われていた胃上部の癌の一部が適応となります。近年、胃上部の癌が増加傾向にあり、噴門側胃切除も増加傾向にあります。残った胃と食道を逆流防止機能を付加し吻合しています。
腹腔鏡下幽門側胃切除術が行われる早期胃癌の一部が適応となります。迷走神経肝枝、腹腔枝を温存し術後の胆嚢結石症の減少、ダンピング症状の早期改善などが期待されています。
70%以上の症例に対し腹腔鏡下切除を行っています。
2024年からはダヴィンチ(Xi)手術支援腹ロボットを用いた腹腔鏡下直腸切除、結腸切除を開始します。直線的な動きが中心の腹腔鏡鉗子と異なり、ダヴィンチの鉗子は540度の可動域を持ち、人間の手の動きをはるかに上回る角度で手術が可能となります。よって、骨盤の奥など狭いスペースでの精密な操作が大きな利点となります。
進行直腸癌に対しては術前放射線化学療法を行い、側方リンパ節郭清を省略することで術後の排尿機能、性機能の温存を図っています。また、一部の切除不能大腸癌に対しては、術前化学療法を行い腫瘍の縮小を図ったのちに根治的な切除を目指しています。
肝臓から発生した肝細胞癌、胆管細胞癌、他臓器の癌から転移してきた転移性肝癌に分かれます。
肝細胞癌は肝炎ウイルスに感染した肝臓やアルコール性肝障害の肝臓から発生することが多い病気です。肝炎ウイルスの治療、感染予防の啓蒙が進んだことにより、全体としては減少傾向にありますが、近年、脂肪肝を背景に発生する肝細胞癌は増加傾向にあります。腫瘍の大きさ、個数、場所、肝機能、患者さんの状態などをもとに内科的治療(ラジオ波焼灼術、肝動脈化学塞栓療法、抗癌剤治療など)と外科的治療(肝切除)を選択します。
転移性肝癌は大腸癌からの転移が多く、切除することで根治が望めるため積極的に手術による切除を目指します。肝臓の機能に応じて切除できる量が決定されるため、ビンセント システムを用いた3D CT画像による手術のシミュレーション(残肝容量計算)を行い安全性を検討しています。
大腸癌の一部は化学療法にて腫瘍が縮小しやすく、切除不能の転移性肝癌であっても化学療法と組み合わせて根治切除を目指す症例もあります。
切除可能、あるいはボーダーライン(切除可能境界)病変に対しては術前化学療法を行った後に根治切除を行います。門脈などの血管合併の切除も行っています。
また膵臓の尾側にある癌に対しては腹腔鏡下手術にて切除を行っています。
太田 秀一
おおた しゅういち
役職 | 副院長 兼 手術部部長 |
---|---|
資格 | 日本外科学会(専門医) |
伊藤 鉄夫
いとう てつお
役職 | 部長 |
---|---|
資格 | 日本外科学会(専門医・指導医) |
壷井 邦彦
つぼい くにひこ
役職 | 副部長 |
---|---|
資格 | 日本外科学会(専門医・指導医) |
鳥口 寛
とりぐち かん
役職 | 副部長 |
---|---|
資格 | 日本外科学会(専門医・指導医) |
関岡 明憲
せきおか あきのり
役職 | 医長 |
---|---|
資格 | 日本外科学会(専門医) |
岡村 昌彦
おかむら まさひこ
役職 | 医長 |
---|---|
資格 | 日本外科学会(専門医) |
李 悠
り ゆう
役職 | 医員 |
---|---|
資格 | 日本外科学会(専門医) |
沈 由剛
しん ゆがん
役職 | 医員 |
---|
中野 弘志
なかの ひろし
役職 | 医員 |
---|
安岡 秀介
やすおか しゅうすけ
役職 | 医員 |
---|
(単位:件)
全手術数(外来手術を含める) | 1,027 |
---|---|
鏡視下手術(補助下手術を含む、EMR・ESDは含まず) | 584 |
全麻手術数 | 847 |
緊急手術数 | 255 |
術式別手術件数 | (うち鏡視下手術) | |
---|---|---|
食道癌切除術 | 2 | 2 |
幽門側胃切除術(幽門保存切除術を含む) | 25 | 25 |
胃全摘術(噴門側胃切除術を含む) | 6 | 6 |
結腸切除術 | 104 | 60 |
直腸前方切除術 | 44 | 30 |
直腸切断術 | 8 | 8 |
肝切除術(葉切除以上) | 3 | 0 |
肝切除術(区域・亜区域切除術) | 10 | 4 |
肝切除術(上記以外) | 8 | 6 |
膵頭十二指腸切除術 | 6 | 0 |
膵体尾部切除術(胃癌手術に伴うものは除く) | 1 | 1 |
膵切除術(その他) | 0 | 0 |
胆嚢摘出術 | 133 | 126 |
脾摘術 | 0 | 0 |
虫垂切除術 | 80 | 79 |
ヘルニア手術(小児を除く) | 199 | 161 |
良性肛門疾患に関する手術 | 89 | 0 |
小児外科手術(ヘルニアも含む) | 6 | 6 |
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
午前 | C-7 | 予約外来 太田 |
交代制 | 太田 | 交代制 | 伊藤鉄 |
C-9 | 岡村 | 壷井 | 関岡 | |||
C-10 | 安岡 | 李 | 沈 | |||
予約外来 B-10 太田 |
||||||
午後 | C-7 | 壷井 | 手術 | 伊藤鉄 | 手術 | 太田 |
C-9 | 岡村 | 鳥口 | 関岡 | |||
C-10 | 沈 | 中野 | 李 |